★汗と皮脂(前編・汗と皮脂が着物に及ぼす影響 他) ー着物クリーニングー

人間の体からは、水と油が分泌されています。 水とは汗、油とは皮脂のことです。 乾燥肌、汗っかき、あぶら症など、個人差もありますが、衣類を着ていると、こうした分泌物による汚れが気になるから、洗って清潔にしますよね。

 

汗と皮脂

汗は汗腺、皮脂は皮脂腺から分泌されています。 汗腺には二種類あって、

 

  • エクリン腺…体全体にあり、ここから出る汗は、99%の水分と1%の塩分などからできており、ほとんどが水分です。
  • アポクリン腺…脇などにあり、ここから出る汗は、皮脂やタンパクも多く含まれる。 ビタミン剤を飲んだ時に黄色い汗のしみが出来たりするのもこの脇の汗です。

 

そして皮脂も、体では胸や背などから分泌されていますが、着物お手入れの視点から注目したいのは、手首や手のひら、首回りにも、汗や皮脂は分泌されているという点です。

気をつけたいのは、主にアポクリン腺から出る皮脂やタンパク。そして時には色素を含む脇汗と、首回りや手にかく、汗と皮脂。

 

着物に及ぼす影響

これらは、そのまま放置していますと更に汚れやすくなりますし、擦れたり、変色して生地が脆化する事もあります。 その時は臭いがなくても、細菌が分解して後から臭いが出てくる事もよくあります。 つまり、衿、袖口、そして脇(時には背中や腰)が、チェックポイントになりますね。

 

衿の皮脂 袖口の皮脂汚れと皮脂ヤケ(変色)

着物の裏地の脇汗による輪じみ(変色)

 

そして忘れてならないのが“手のひら”です。 例えば着物を着て座っておられる時、手のひらは太ももの辺りに置かれます。 同じ着物を何度もそうして着ていると、その辺りが黄ばんできます(皮脂焼け)。 また、着付けの練習や、出したり畳んだりする時、肩山の袖付けの辺りの同じ所をつまみますよね。 ここもチェックポイントです。

 

↑太ももの辺りは写真のこの辺りです。

              座るときはハンカチを敷くなど、ちょっと気を付けましょう。

 

水と油のお手入れの基本

私達の体からは、汗(水)と皮脂(油)が出ている。そして、

“汗(水)は水で洗う。皮脂(油)は油で洗う” これが原則です。(※界面活性剤を省く)

左:溶剤によるお手入れ 右:水と石けんでのお手入れ

 

衿汚れを昔からベンジンで拭いて綺麗にしていたのは、主に、この皮脂を落としていたんですね。 でも、汗は残ります。 また、着用後の陰干しも、水成分の多いエクリン腺から出た汗を乾燥させることはできますが、皮脂やタンパクは残ってしまいます。 タンパクは、絹の主成分と同じなので結合も強く、時間が経つほど、取れにくくなります。 ですから様々な界面活性剤―つまり、洗剤を使って水洗いします。 アルカリや酵素を含む洗剤ですと、油汚れも落としてくれます。 ご家庭のお洗濯がそうですね。

 

でも、「絹」そして「着物」はデリケートですから、アルカリや酵素がふんだんに使われた洗剤で、洗濯機で洗う、なんてしないでくださいね。 どうやって洗うかの判断は、経験と知識と技術のある専門のお店にお任せしましょう。

 

汗と皮脂、おわかり頂けました? 面倒だし、難しそう…。

でも、大丈夫!後編では、そのいろいろな対処法についてお話しましょう。

 

 

 

 

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