石けんで部分的に洗うことしかできない生地

 

着物も洋服も、いろんな生地素材から作られています。着物の場合、その種類は、絹、綿、ポリエステルといったよく使われる定番の物から、交織、混紡、再生、合成、など多種多様です。(生地の種類は様々で日進月歩です。また別の機会に詳しくお話ししますね。)

 

もちろん、着物の状態によっては、油性処理しかできないもの、水性処理しかできないものなどいろいろありますが、今回は、「生地」という分類において、シミを抜くことが出来ない=漂白が出来ない物がある、というお話をします。

 

それは、アセテートです。(ジアセテート、トリアセテート)

(お宮参り祝着用の下着)

 

和装では、赤ちゃんのお宮参りの祝着又はその裏地や、祝着用下着などによく使われたり、女性用の半衿もよく見かけます。洋装でも、スーツやコートの裏地や、女性用のスカートやワンピース等、幅広く使われています。光沢があって柔らかいドレープが、絹と似ているんですね。

 

アセテートは、その製造工程で、アセトンという溶解力の高い有機溶剤を使って合成しています。ですからドライクリーニングも、本当はあまりおすすめできません。でもクリーニング溶剤は、もっと生地に優しい物を使用していますから、大丈夫なんです。が、何度も繰り返したり、古い物だと風合いを損なう恐れもあります。(ちなみにアセトンは、マニキュアの除光液やネイルによく使われていますね。着物のしみ抜きでは使いません。)

 

でも、だからと言って水で丸洗いや、お洗濯されるのもおすすめできません。半衿や解き洗いなど、可能な物もありますが、裏地のついた仕立て上がりの状態では、アセテートの風合いや表裏のつり合いにも支障を来たします。アセテートはしわが入りやすく、くしゃくしゃになる事も考えられますし、高温に弱いためそのしわは伸びません。それにもし赤い付け袖などがあれば、色落ち・色移りが起きますし、激しく色移りした事例も過去に実際に見ています。

(女児下着の赤い付け袖)

 

そして、もうひとつ、アセテートはその製造工程で酢酸も使われています。つまり、アセテートは、石油から作られたポリエステルとは違って、木材パルプ・酢酸・アセトンで自然原料から半分合成された、「半合成繊維」なんです。

 

しみ抜きは、酸性の薬品とアルカリ性の薬品を中心に作業を行いますから、酢酸は必ずと言っていいほどよく使います。でも酢酸を使うとアセテートは溶けてしまいます。ですから使えないんですね。酢酸に替わる薬品を使用しても、強い酸や強いアルカリに弱いため、結局変色のシミはとれないで、生地を傷めてしまいます。

 

赤ちゃん用の下着などには、最近はアセテートだけではなくポリエステルなども多く使われていますし、もちろん絹もあります。分からない場合はご相談下さい。尚、生地の質や種類は、リモートでは判断できませんので、予めご了承下さい。

 

シミや汚れはついてすぐなら洗えば落ちますが、年数が経てば、変色になってしまいます。そうなるとアセテートの場合とれません。洗って落ちる段階で、早目に落としておけば、より安心ですね。カビによる変色にもご注意下さいね。

 

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