☆いただいた着物をもっと着やすく寸法直ししましょう-訪問着の身巾・裄直しの一例-

新しい年を迎えると、「今年は何か新しいことを始めてみようかな」と思われる方も多いのではないでしょうか。

茶道などの和のお稽古はもちろんですが、普段のお出かけやイベントで、もっと自由に着物を楽しみたいという方々も増えていますね。着物を着始めると、普段着やおしゃれ着からお茶会などに着ていく晴れ着まで、家族や知人、友人から譲り受けた一枚が手元に集まってくることも多いものです。

 

色柄はとても素敵なのに、着てみると丈が合わない、裄が短い、全体のバランスがなんとなく自分らしく決まらなかったりすることもありますよね。帯や小物で工夫して着られなくはないけれど、動きづらかったり、着崩れを心配したり。

そうした違和感は全部仕立て直すのではなく、着物は「部分的なサイズのお直し」で変わる場合が多くあります。完全に自分の寸法に直せないこともありますが、できるだけ近づけることで着物が着やすくなり、生まれ変わります。

今回は訪問着をどのように寸法直ししているかご紹介していきます。

 

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訪問着は【絵羽柄】といい、柄が衽、前身頃、後身頃とつながるように作られています。

小紋や無地の着物ですと寸法に合わせて仕立て直すのみですが、訪問着の場合は寸法を変えることで、柄のつながりがどのようになるか確認しながら進めます。

 

では、具体的に見てみましょう。

この実例では身巾を狭くし、裄は大きくします。

1.身巾を直します。

身巾寸法はヒップサイズから割り出します。

    元の寸法 →直し寸法

 前巾 26cm →前巾 24cm

 後巾 30.5cm →後巾 28.5cm

 

訪問着ですので柄合わせもしつつ身巾を狭くするお直しをします。

寸法が違っても柄のつながりに違和感がないように工夫してデザインされていることが多いです。

【絵羽柄】の場合、ヒップサイズ96㎝前後で柄付けされているものが多いです。大幅にヒップサイズが大きい方、小さい方の場合は、脇の柄は完全にはつながりませんので雰囲気で感じよく合わせます。

 

脇の柄を合わせるために内揚げのところまで脇をほどきます。

脇をほどきましたら柄を合わせ、脇を縫い合わせます。

黄色の丸の中を比較していただけるとお直し後は柄が合っているのが分かります。

柄に何色も使われている場合、柄の色に合わせて糸の色を変えます。その色の継ぎ目に繊細な作業が必要となり、プロの技術力・経験が活かされるところです。

左/お直し前・右/お直し後

左/お直し前     右/お直し後

 

反対側の右脇も同様に直しました。

完成図 [前巾24㎝、後巾28.5㎝に直しました]

身巾直し後 [前巾24㎝、後巾28.5㎝]

 

2.裄を直します。

  元の寸法    直し寸法

 肩・袖巾64.5cm →肩・袖巾64.5cm

 

今回は裄が大きくなるお直しになります。

通常、無地の場合は袖付け側をほどいて袖巾、肩巾を出しますが、この着物の場合は柄がつながっていますので、このまま袖付け側で広げると柄がずれてしまいます。

そのため、袖全体をほどいて袖を作り直します。

いったん一枚の布に戻すことで同じ柄のように仕立て直すことができます。

裄直しの寸法確認図

↓袖をほどきましたがスジが出てしまいますので、スジ消しをします。

袖をほどきましたがスジが出てしまいますので、スジ消しをします。

↓こちらがスジを消したものになります。

こちらがスジを消したものになります。

今回は前のスジがわからなくなりました。

長年着用した着物ですと生地が擦れていたり汚れたり、色がやけて変色していることもありますので、しみぬきや染色補正をすることもあります。

 

2-2.袖を作り直します。

裄直しする前と同じ柄になるように柄の位置を決め、袖を付けました。

【絵羽柄】がつながりました。

完成図(裄66.5㎝:袖巾34㎝+肩巾32.5㎝に直しました)

裄出し後[裄66.5㎝:袖巾34㎝+肩巾32.5㎝]

 

着物の状態にもよりますが、極端なサイズ変更以外は着物のお直しは可能です。

お客様から「寸法を直したことで着心地が違いました」、「小紋柄は自分で寸法を直したことがあるけれど、絵羽柄は難易度が高く、専門店でのお直しの安心感がありました」とのお声をいただきました。

まずは『ここだけ』直す、という選択もおすすめです。それだけでぐっと着やすくなると思います。

大切に受け継がれてきた訪問着が、また活躍できるお手伝いができるのはうれしいですね。

『これは直せるのかな?』と迷ったら、お気軽にご相談ください。