ママ振りの袖丈お直し実例を紹介します

ママ振りとは、お母様が成人式に着た振袖を、娘さんが成人式で着ることです。
「お母様の振袖を、お嬢様の成人式に」
近年、そのような素敵なご相談が増えています。
大切に保管されてきた振袖には、今では手に入りにくい色柄や上質なものも多く、仕立て直しをすれば十分着用できるケースがたくさんあります。
中でもご相談の多いのが、「裄丈」や「袖丈」「身丈」の調整です。
晴れの日の準備として、お嬢様の体型に合わせてお直しいたします。
今回は、実際にお預かりした小さくなるママ振りのお直し一例として、振袖の「袖丈直し」の工程を、写真付きで詳しくご紹介します。
着物の保存状態にもよりますが、サイズはお母様より小さくなる場合は、ほぼ問題なく直すことができます。
まずはお二人のサイズを比べてみます。
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お母様 身長 161㎝
娘様 身長 153㎝
*バスト、ヒップサイズはほぼ同じ
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身長の差がある以外ほぼ同じ体型のため、今回は袖丈のみの直しで着用することができます。
左袖は肩の後側で身頃と袖の柄がつながっている為、袖底を作り直して短くします。
振袖の袖丈は身長から-50㎝位が目安になります。元の袖丈は110㎝でしたのでこれを約8㎝短くします。
袖を裏返し袖底をほどきます。
ほどきましたら縫代にアイロンをかけ平にします。
袖の丸みを作り直し、袖丈を調節します。
右袖と比べて袖底で8㎝短くなりました。
次は右袖です。
右袖は左袖と違い肩の身頃と袖がそれぞれ無地になります。袖底で柄が切れないように袖を作り直します。
袖を作り直しの為表と裏地をはずしてきれいにアイロンかけします。
袖山の位置を変えて袖を作り直します。
袖を作り直し、完成です。
袖丈を直すだけですが、ひとつひとつ丁寧に工程を進めることで長く美しいきもの仕上がります。
今回は袖丈のお直しのみで着用が可能でしたが、お母様よりサイズが大きくなる場合でも、
お直し、仕立て直しなどで着用ができる場合もございますので、お気軽にご相談ください。