◇ご自分でされる着物のお手入れについて  ―着物生活―

「自分でちょっと汚れを落とすにはどうしたらいいのですか?」「着たあとに家で出来るお手入れを教えてください。」

 

これ、よく聞かれます。これさえ出来たらもっと気軽に着物が着られるのに、と誰でも思いますよね。ご家庭で出来るお手入れは、着物雑誌にも時々出ているし、呉服店様や着物アドバイザーの先生も助言してくださいますし、検索してもおそらく何通りか出てくるでしょう。

 

でも、着物お手入れの専門職としての観点からは、

「着物によって違うし、時と場合によって違うし、人によっても違う」というのが、一番正確な解答ではないか、と思うんです。ですから、衿はこうすればよいとか、汗はこうすればよいとか、答えを絞れないんです。

 

・着物によって違う…

色落ちするもの。色泣き(柄や糸の色が一部滲む)するもの。糸弱り、生地弱りは無いか。スレは?加工は?…その他にも、見なければならないポイントはたくさんあります。

・時と場合によって違う…

その時は、暑かったのか寒かったのか、雨は?食事をした、荷物を抱えていた、子供を抱いていた?

その着物の場合は、新しいのか古いのか。マイサイズか?何度も着て何度もお手入れしているのか、一度着ただけなのか。…こちらも見るポイントが様々に違います。

・人によって違う…

着物を始めたばかりなのか、着慣れて扱いに慣れているのか。染めや織り、和裁などに詳しいのか、またはクリーニングやしみぬきの知識に詳しいのか。一般の方でも、器用で上手にされる方もいらっしゃいますが、簡単そうに見える事って実は難しかったりするものです。「私にも出来る!」って思っちゃって、本当に大丈夫でしょうか?

 

ですから、一枚一枚実際に見せて頂くと、その着物に合ったお手入れをお答えできますが、総合的な解答って出来ないんですよね。失敗して取り返しがつかなくなる事もあります。

 

最低限、安全と思われるのは、撥水加工されている着物ならば、きものハンガーに裏向けに吊るして、30㎝くらい離して、脇や背中のしわのきついところに霧吹きで水を吹いて、乾いたタオルで軽く叩いて水気をとり、日の当たらない所で陰干しをする。よく乾燥させてから畳んで片付ける。但し、撥水加工されている着物は、ベンジン等の有機溶剤は使用されない方がいいでしょう。使い方によっては、ワジミになる事があります。(ブログ 「汗と皮脂後編」 参照)

 

脇や背、腰回りなどにできる汗じわ

汗抜きの様子

 

お答えできるのはそれだけです。ベンジン等の有機溶剤は、危険が伴ったり残留したりする物もあるのでおすすめ出来ません。水作業はもっと技術が必要です。ですから、撥水加工されているものなら、というわけです。

 

着物のお手入れやしみぬきというのは、クリーニング屋さんでも一部のお店しか出来ない難しい技術や知識が必要な仕事です。私達は、人間国宝の先生の作品である高級な着物のお手入れもいたしますから、そのためには何年も修業をして臨んでいます。

更に、ご家庭には無い専用の機材も設備も整った中で、特別な洗剤や薬剤も使用して作業をしています。そして、ご自分でされて取り返しがつかなくなった事例も多く見て来ました。

 

水作業は主に、細かい霧と強い水圧調節ができる専用のガンを使用します。

最新の専用の機械を使ったり、優しくソフトに全体の汗抜きをしたり、用途によって使い分け、ご家庭ではできない作業をこなしていきます。

 

ですから、その着物・その時と場合・その人  を知った上でないと、お手入れのやり方を言葉だけでは伝えられないのです。すいません。ですが、ブログでいろんな事例や注意点を少しずつ紹介して行きますので、ご参考にしてください。また、お問い合わせ頂いた際には、一枚一枚丁寧に検品してお答えいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。

 

しるくらんどでは、リモート相談も無料です。

フリーダイヤル、LINEからのお問い合わせも承ります。

そして、その着物の説明とアドバイスを記入してオリジナルサービス“着物カルテ”も作成いたします。