♦男性にもっと着物を着せたい!今さら聞けない男物入門編―着物コラム―

着物はファッションですが、京友禅などの華やかな着物は女性物ばかりなので女性の世界のように思われがちです。しかし実は男性こそ着物が似合うはずなんですよ。そして女性よりはるかに簡単に着られるので、どなたでもすぐに着物紳士•着物男子に変身できます。それにおじいさんの着物はもしかしたら値打ちのある紬かも。現代ではなかなか作れない生地もありますが、着物は売ってもほとんどお金にはなりません。捨てたりする前に一度、お父さん、息子さんに着て頂いてその魅力に気づいてください。

今週は男の着物入門編の前の、今さら聞けない初歩的なお話を致します。知ってしまえばコワくない、堂々と彼氏に着せて着物デートも楽しめますよ。

✳今回は袴付きではなく、普段着の着流しスタイルデビューに役立つお話です。

 

ーー男性着物は女性着物とどこが違うの?ーー

 

① 絵は表にはなく、隠れた所に描かれている

 

女物は、花や景色や華やかな文様が描かれているのが多くあり、着物を広げると一枚の絵になる文様を絵羽模様と言いますが、男物には一部の舞台衣装などにあるだけでほとんどありません。男性は襦袢や羽織の裏の見えないところに浮世絵や富士山や鷹など、様々な絵を描いてお洒落を楽しむのですね。

ちなみに羽織は明治になるまでは男性の装束でしたから、羽織裏は男性だけのお洒落な部分だったのかもしれません。

また男物の帯は角帯と言って幅が大体8cm〜11cmと細い物を使いますが、こちらも柄はあっても絵羽にはなりません。

男性着物や帯

男物の表地は無地物や江戸小紋、先染めの紬が多く、現代では作り手の減少した貴重な生地も多く使われています。

 

② 簡単に早く、楽に着られる

 

筆者は、男物は決まり事がたくさんあって難しいに違いない、と思っていました。身近に着物を着る男性がいなかったからです。しかし男性の着付けを知った時、その簡単さとスピードに驚きました。

それは旅館の浴衣のようにただ着るだけに思えました。

 

女性の場合、帯を結ぶまでに、衣紋を綺麗に抜いて、衿合わせはのどのくぼみ、裾の位置は長過ぎず短過ぎず、お端折りは綺麗に整えて、と数々の難関を突破して(笑)、やっと帯が結べると思えば、柄が前も後ろも綺麗に出るように、垂れの長さは人差し指で計り、帯締めの結び方に帯揚げの始末、と再び数々のチェックポイントをこなさなければなりません。(ぜひブログ着付けを簡単にする最強のアイテムはなんといっても作り帯!をご覧下さい!)

女性の多くは、一度は着物を自分で着られるようになりたいと思うのですが、この「着るのが大変」「着られない」ことが壁になって断念されます。又、着付け教室で手順を覚えても、上手く着られるようになるまでは時間がかかり、慣れる前に離脱される方も多くおられます。

 

その点男性は①でお話したようにシンプルな生地を纏うので、衣紋抜きもお端折りも着丈の心配もいりません。帯も柄の位置(上下や裏表はある物もありますが)も帯枕も帯締めも帯揚げもいりません。ただ着て結べればいいので簡単で、紐も少ないので楽なのです。

 

帯結びは本や動画投稿サイトに出ているので2、3回練習すればマスター出来ます。女性の方が浴衣を着る程度の着付けができれば、すぐ覚えられるので、結んであげてもいいですね。

 

③ スタイルを決める鍵は“サイズ”

 

男物をカッコよく着るには、自分の体型にピッタリ合った寸法が物を言います。逆に言うと男性は、寸法さえピッタリならば着るだけで誰でも決まるし着心地もいいのです。

しかし人間誰しも太ったり痩せたりする事はあるので、そうなると横幅だけは補正したり、寸法を直したりしないといけませんが、それは女性も同じですね。体型は健康のためにも維持したい所です(笑)。

 

④ 意外と機能的

 

男物と女物はなぜこんなに違うのかというとそれも着物と日本の歴史に答えがあるので、またの機会にお話させて頂きますね。しかし男性から長年愛されてきただけあって、その機能面も男性向きに出来てるなあと感心する点がいくつかあります。

 

  • 細くて長い帯を腰に2、3周巻く事で“使える”ベルトになる

元々武士が脇差しを二本、腰に安定させるために細い帯を2周巻いていたようです。現代でも男性は鞄など荷物をあまり持たない方が多いので、この安定した帯に挟んでポケット代わりに使える小物がいろいろあります。それにこの帯は、裾をからげて挟む時にもやりやすい形式ですね。

 

  • 女物と違って袖が袋になっている

女物は袖の振りが開いていますが、男物は袖付けが長く、振りは短く、縫い留められています。(その部分を“人形”と言います)また、男物は袖口が広く開いています。

男性着物の袖

男物は袖付、袖口が広く、振り(〇のところ)が閉じています。

女性着物の袖

女物は袖付、袖口が狭く、振りが開いています

つまり、袖の中に財布等を入れて袖口から手を引っ込めると取り出せるようになっているのですね。便利ですよね。でも、よく着物を着る方はそのために袖口がほつれたり、袖の中にゴミが入ったりする事もあるので、こんな小物もおすすめです。

小物の紐を、着物の中から両袖の中に通して使います。

ーー まとめ ーー

 

いかがでしたか?男物は、•紬や江戸小紋等の貴重な染織品が多い•着るのが簡単で楽•寸法が大事•機能的 だとわかれば、たんすに眠っているおじいさんの着物、捨てるのは勿体ないと思いませんか?着て差し上げたらきっと喜んで下さると思います。

「男物の着物はうちにあるけどカビが心配」「寸法がよくわからない」という方は、お気軽にお問い合わせ下さいね。旦那様の着物デビューはすぐそこです。