★着物の気になるニオイを消したい!実験結果に期待大 ―着物クリーニング―

着物や洋服は身につける物ですから、ニオイがあると気になりますね。私達は毎日たくさんのお着物をお手入れさせて頂いてます。ほとんどの物には気になるほどのニオイはありませんが、今までにニオイにまつわるいろんな経験をしてきました。

 

分類すると、

 

①保管上のニオイ

  • たんすの素材の木のニオイ・樟脳、ナフタリンなどの防虫剤のニオイ・匂い袋・土蔵などの土のニオイ・カビのニオイなど

これらの共通点は、どれも長い年月入れっぱなしで放置されていたために染み付いたという所です。

 

②体臭

  • 汗・ワキガ・尿など

体臭は個人差がありますが、何度も着用されて一度もお手入れされていない着物や襦袢は、体質に関係なく汗のニオイがします。体臭は、その方のその時の生活習慣や飲食物などが大きく影響します。顕著に表れるのはビタミン剤やドリンク剤で、そういったお薬やサプリメントを飲むと黄色く、お薬のニオイのする尿が出るように、汗にも表れます。(ブログ「汗と皮脂(前編・汗と皮脂が着物に及ぼす影響)」参照

 

③外的要因

  • 香水、匂い袋、お香・煙草・ペットのニオイ、特に尿・飲食物(ソース、カレー、醤油、コーヒー他)など

これらは「表面についたもの」「外からついたもの」という共通点があります。が、種類は様々で、植物性・動物性の違いもありますし、液体・気体の違いもあります。

 

④事故

  • 火事にあった・水害にあった

これらは、どちらも独特のニオイがあります。

 

 

---とれないニオイとは?---

 

ニオイを消すには「ニオイの原因を取り除く」のが一番ですが、染み付いているものーつまり、繊維の奥深く一体化しているものーは、取り除く事ができません。Tシャツなどでしたら、強力な洗剤でザブザブ洗って、日光に当てて殺菌すればスッキリと消える事もありますが、着物やスーツ、ドレスなどはそういうわけにはいきません。

また、その着物を洗い張りして水で洗ったとしても、多かれ少なかれニオイは残ります。

今までの経験からすると、①も②は、程度にもよりますがまだなんとかなります。防虫剤やカビ、ワキガや尿などのニオイが強い場合は、完全に消す事は出来なくても、かなり薄くなったことは何度もありました。ですが、③の一部と④は困難で、特に

 A 香水、匂い袋など、植物性エキスの濃いもの

 B 煙草、火事、お香のように燻されたもの

 C ペットの尿、特に猫の尿

 D 水没したもの

これらは根本的に素材が化学変化を起こしている場合があり、よく洗ってよく乾燥させたとしても、A、B、Cはニオイが残ったりしますし、Dは風合いなど、以前とは別の物になってしまいます。

つまり、「ニオイの原因を取り除く事が出来ない」のですね。

 

でも、化学の世界は日進月歩です。あらゆる業界でニオイを消す研究はされていますし、薬剤や方法と、対象物との相性がピッタリ噛み合えば、今まで取れないとされてきた着物のニオイも消えるかも知れません。未来に希望を持ちましょう。

 

---様々なニオイ消し---

 

さて、ここで問題です。

原因を取り除く事が出来ない着物のニオイを消すには、次の3つの中の、どの方法が最適でしょうか?

 ⑴ 他の物質に吸着させる(脱臭・活性炭など)

 ⑵ 上から別のニオイをつける(芳香・香水やお香など)

 ⑶ 化学的作用で分解する(消臭・制菌、除菌など)

1つ選んでみてください。

 

〈解答〉

⑴の炭は、お部屋や車、冷蔵庫など、良く使われますが、吸着するだけなので、発生源を取り除かない限り常に脱臭剤を置かなくてはならず、衣類には向きません。⑵の、別のニオイは、水で洗濯しない着物の場合は、あまり!おすすめできません。昔はよく用いられた方法ですが、特に匂い袋や樟脳はたんすのなかで置きっぱなしにされると、植物性のガス焼けの原因にもなります。(ブログ「たんすの中で起きる四つのガス焼け」参照

一番効果が期待出来るのは、⑶の「化学的効果で分解する」が正解ですね。ただし、消臭スプレーとして市販されているのもたくさんありますが、用途によって使い分けるのが肝心で、着物には効果のないものや、ワジミになるため使えない物もあります。

そこでおすすめしたいのが、和服専門の「デオファクター・キモノ」です。これまでにも、イベントや雑誌、情報誌などで何度か取り上げられてきました。高濃度天然ミネラルの力で空気中に含まれる酸素と水分に化学反応して有害物質を分解して制菌します。デオファクターは文化財や公衆の建築物や交通機関などの制菌・制ウイルスにも使用されていますが、繊維加工品においてはSEKマーク(一般社団法人繊維評価技術評議会が機能性繊維製品について効果、安全性、洗濯耐久性などの評価を行い承認しているマーク)を取得しています。

 

デオファクター・キモノは和服向けに作られたデオファクターです。

デオファクターは、会社のトイレでも活躍しています。

 

という難しい話はさておき(笑)これを取り扱うに当たって私達は昨年、ある実験を行いました。自分の着物に外国製の香水をたっぷりつけて、デオファクター加工をしてみたのです。香水ですからいいニオイですが、キツイと嫌ですよね。当時は社内で、このニオイなんとかしてくれとクレームが出るほどで、デオファクターをして干していたので、しばらくはみんなで我慢してました(笑)。

しかし、2週間くらい経った頃、ニオイが薄くなってきて、みんな驚いてクンクン嗅いでいました。一ヶ月もしたらほとんど匂わなくなり、一年以上経った今では全く匂いません。(香水は、干しているだけで消える物ではありません。)この実験によって、私達は効果を実感しました。ただ、程度によって、時間が必要な場合はあるようです。ですからニオイやカビが出る前に加工を施しておくのが一番オススメです。

 

まだ開発されて市場に出たばかりなので、具体的な年数を経た実証例は無いのですが、この実験の時は、ニオイは消えました。お困りの際にはぜひご相談ください。