♢着物でお出かけ実践編・寒さ対策のアレコレ―着物生活―

今回は久しぶりの「着物を着てお出かけしてみました」シリーズです。今までに「江戸時代から現存する浴衣の展示に着物を着て観に行きました」「♢着物でお出かけしてみよう!使える工夫のアレコレ実践編―着物生活―」の2本のブログを書きましたが、どちらも6月7月の暑い季節でした。そこで今回は、真冬の寒さ対策を中心にお送りしたいと思います。時期は1月下旬。目的地は、祇園祭で有名な八坂神社と、美術館で開催されている「昭和の祇園」という写真展です。

八坂神社

ちなみにこちらの展示は、祇園の花街の舞妓さんや芸姑さんの写真を過去およそ50年に渡って撮影されてきた溝渕ひろしさんというカメラマンの写真展です。お引きずりにだらりの帯を纏った美しい舞妓さんだけでなく、花街の人々が、日常着として着物を着て生活している風景の写真がたくさん見られました。どんな風に着ているのか興味津々でしたが、特に着崩す事もなく、普段着物は今とあまり変わりませんでした。でも、多くの人が着物を着ている風景は、どこか懐かしい感じがしました。最近は、式などできっちりと着ているのを見る事が多いので、肩の力が入ってなくて楽に見えましたし、実際に楽なのでしょう。(写真はお見せ出来ないので残念です。)

 

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この日のコーディネートは、白い柄物の紬の袷に、長襦袢は深緑色の単衣。着物の端切れで作った鼠色の暈しの半衿。木綿の半幅帯は緑系の市松風チェック。羽織は錆ピンクの柄物。今回は頂き物がほとんどで、マイサイズなのは実は長襦袢だけです。足袋も少し大きく(その理由は後ほどおわかり頂けます)、羽織と着物は少し小さいんです。でも、長襦袢がマイサイズなので、着心地としてはこの程度なら小さく感じないんですよ。前にブログ「苦か楽か?ピッタリサイズの長襦袢が鍵を握る!」にも書きましたが、襦袢がピッタリだと、着物が少しサイズが合わなくても、着てる当人は違和感なく着られます。逆に、長襦袢のサイズが合わないと、着物がピッタリでも、何となくしっくり来ないものです。

コーディネート

冬ですからもちろん袷の長襦袢の方が温かいのですが、今回は単衣でも厚手生地(男性用襦袢生地で仕立てた物です)なので、こちらを着る事にしました。

そして今回の着物は袖幅が少し短く、振りから襦袢が出てしまいます。(ブログ「襦袢がはみ出る?着物を着る前にこれだけは確認しておきたいこと」参照)そこで前もって着物の振りの真ん中より少し上辺りを2cmくらいの間隔で糸を渡して留めて、襦袢がはみ出ないように対策をしておきました。

振りを縫っている所

糸は着物の色ではなく襦袢の色に合わせます

そうすると、こんな風に綺麗に納まるので気になりません。よくされている対策ですね。

縫った振り

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さて寒さ対策です。美術館は室内で暖かく、外の八坂神社は木枯らしがピューピュー。冬によくあるシチュエーションです。そのため、着脱がやりやすい防寒を選ぶ事にしています。帽子やマフラー、手袋、ブーツなどは着物にもよく合います。「とんび」と呼ばれる円形のコートも使いやすいですね。今回使用しているウールの大判のショールも軽くて暖かく、着脱もしやすいのでお気に入りです。防寒はファッションとしても、皆さんそれぞれいろいろ工夫されていることでしょう。

 

とはいえ、温度感は個人差があります。では、もう少し踏み込んで、寒がりさんや冷え性の方のためにポイントをお話しましょう。着物に限らず、それは「首•手首•足首」です。風邪予防には、「首」の付く所を冷やさない事だ、とよく聞きますね。和服は、そこが開いてるのでそのままにしておくと、夏はいいですが冬はとても寒いんです。そこでまず首は、マフラーやショール、タートルネックなどで防寒します。次に手首です。アームカバーを毛糸で編んだり手作りされたり、着物向けの物も売られているので、それを使うと見た目も悪くならず、全然寒くありません。今回はこうなっていました。

【A】暖かいシャツ【B】アームカバー

【A】暖かいシャツ【B】アームカバー/ アームカバーと同色の手袋をさらに装着すると万全です。

そして足首ですね。今回はこうなっていました。

【C】レギンス【D】五本靴下、フットカバー【E】大きめの足袋/靴下はレギンスに下に入れた方がよいですね。

少し大きめの足袋を選んで、中に五本指靴下(二本指でもOK)を履きます。防寒用レギンスは、ご年配のご婦人から「あれがチラッと見えたら興ざめだわ」とご指摘を受けた事もあるのですが、着物離れになるよりはと愛用しています。でもやはり下着ですから、外からは見えない方がいいですね。アームカバーは着物をおしゃれに着こなすためにも効果的です。他には、パンストやタイツ、ネルの裾除けなど、いろいろあります。ご自分に合ったアイテムを見つけて下さいね。

 

また、使い捨てカイロですが、貼るタイプですと、室内で暑くなり過ぎた時に、剥がす事が出来なくて低温やけどや、気分が悪くなるといけないので、貼らないタイプがおすすめです。帯の中や懐に忍ばせておくといいですね。

 

実は私も、習った通りに着て、真冬に出先で想像以上に寒くてどうする事も出来ず、気分が悪くなった事もありました。あのままだと懲りてしまい、もう着られなくなっていたかも知れません。自分でいろいろ工夫して着るようになってからは、断然着やすくなり、四季を通して楽に着られるようになりました。

 

着物デビューされたばかりの方も、いろいろ工夫してご自分の着物ライフを楽しんで下さいね。しるくらんどは、着物を着る方々を着物愛を持って応援致します。